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箱庭の星

オンラインゲーム「Granado Espada」のラピス鯖にてもっそり開拓中のイリフィカーデ家門が織りなす、新大陸一大スペクタクル(という名の妄想。)
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ビンゴの恐怖

■■■

超久々の更新になってしまいました。

今月末にある合評会にむけて、絶賛寝なかったり寝なかったり…な生活をしている中の人ですww
(クラスの仲のいい子が駅でぶっ倒れて救急車で運ばれたんだぜww頑張りすぎだっつのwww)


そんな中、GEではビンゴゲームがはじまりましたね★






開始3秒で終わったなんて、そんなこと口が裂けても言えない^^


運営さんもいろいろと頑張ってGEを面白くしようとされてますね。
(若干今回の説明不足やら報酬に魅力不足やら、いろいろ思うところはありますが;)


説明文を日本語能力の足りなさで読解できず、うっかりマスター版を選んでしまったのでさぁ大変www



鬼すぎるwww


しいて言えば、カルヤが100でカンストしてるので、覚醒書使っちゃえばかろうじて一列リーチなんですが;そのリーチを上がるために必要なのがVTのガルシアだっていうのが死亡フラグwww

ガルシア編入するために、今まさに、がんばって照夫をEXにしようとしてるんだっつの(´ω`;)まだまだ先そうです…。


オータムコレクション、4回だけ回したらスカ子とスカ冬コスが出ました。

どんだけスカに好かれてるんだww
(け、けしてシャレではないですよ!!たまたまですよ!!!←

どちらのコスもお嫁に出して、代わりにめっちゃ欲しかったwiz男の新コスをvis買いしました^^

中の人、薄紫色大好きなんですよぅ!!!!(聞いてないw
ていうか、相変わらず小林先生の描く原画のwiz男がかっこよすぎて鼻血がww

どうやら全基本職分デザインされたようなので、続くウィンターコレクションとかで出るのを期待してます★(党員さんからマスケの衣装が特に先生がお気に入りらしいとの情報をgetしたので、同じくマスケ(正確にはマス男好きw)の党員さんと貯金を心に誓ったのでした)

時間に余裕ができたら、またwiz男の新コスのSS撮りに行かなきゃ!
あっ、ミフユも無事に編入できたり、オーシュマスオとかも編入したので、バラックリストも書き変えなきゃ!

合評会後には、ぜひEX達成キャラのお祝い絵も描きたいし、やりたいことは山積みですね。
うむ、よいことじゃ。


もうしばらく更新にインターバル空きそうですが、たまにフラッと覗いてやってくださるとうれしいです(´ω`)

ではでは、インフルが地味にはやってたり、季節の変わり目でアレルギーに辛い時期になったりといろいろですが、みなさんどうぞ元気にお過ごしくださいませノシ
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【エデュアルド&セルバ】Awkward Cooking 2

エデュアルドは、スカウトのフランシスがガリ版で印刷した家事分担表を見ていた。

どうやら今回の仕事は、第一・第三週が倉庫内の掃除で、第二・第四週が夕食当番らしい。隣の席に座っていたグラシエルロは朝食当番が割り当たってしまったらしく、「最悪だぜ!」と頭を抱えて呻いている。

イリフィカーデ家門に編入してまだ四ヶ月程だが、それでも一~二か月に一回のペースで家事の分担がローテーションしていくらしいということは分かった。

(今回は朝一でする仕事はないようだな…。)

エデュアルドは内心安堵していた。

家門に合流してすぐの仕事は、朝の玄関掃除と武器の手入れだったのだが、死者の大地にいる間にすっかり夜型の生活(正確には、日の昇らない特殊空間にいたせいで、体内時計がすっかり狂っていただけなのだが)になってしまっていた彼は、大いに苦労することになった。

朝一の玄関掃除をするために夜起きていて、仕事が終われば夕方まで寝るという、それこそ本末転倒な生活スタイルになってしまったのである。

そんなわけで、最近ようやく人並みの活動時間で寝起きできるようになってきた彼ではあるが、まだまだ家門の中では下から数えた方が早いお寝坊さんであった。


(今回、一緒に仕事をするのは……)

エデュアルドは、表を眼で追った。
追った視線が、はたと止まる。



セルバ



確かにそう書いてある。


おぼろげな記憶の断片の中で、「自分には婚約者がいたらしい」というところまでは思い出していた彼だったが、その人の名前や顔をどうしても思い出せずにいた。

家門のメンバーたちとモントロを追跡していく中でしばしば目撃していた彼女が、まさか自分の婚約者だと思っていなかった彼は、顔にこそ出さなかったもののかなり驚いたものである。


エデュアルドはセルバの編入を歓迎していたが、同時に申し訳ない気持ちに胸を痛めていた。


彼女の目を見れば、いかに自分を案じ、慕ってくれているかが痛いほど伝わってくる。そして同時に、彼女の絶望に似た悲しみも伝わってくるのだ。

無理もあるまい。

エデュアルド本人も、記憶を失っていると気づいた時には死すら考えるほどに混乱した。まして彼女は、エデュアルドの仇を討とうという信念だけで新大陸に渡り、たった一人で今まで戦い抜いてきた。

その彼女が生きている自分に会ったのだ。当然、以前と同じあたたかな関係を望むのはごくごく自然なことだろう。


しかし自分は、その思いに応えられない。


いくら知識として「婚約者のセルバ」ということが分かっても、かつてとまったく同じ気持ちを思い出すことは出来ない。

「顔も名前も知らない人」をいきなり愛することは、誰にとっても不可能なことであった。



「エデュアルドさん、ちょっといいですか?」

目を瞑って思考の波にゆられていたエデュアルドの意識は、アイラワンの声で現実に急浮上した。

「どうした?」

アイラワンは、エデュアルドが寝ているとでも思っていたのであろう。思いのほかすぐに返事が返ってきて、少し安心したような顔をした。(実際、家門会議で最初から最後までエデュアルドが起きているためしはほとんどない。)

「今週、俺とエミリアさんが食品の買い出し係なんです。それで、もうそろそろ市場に行くので、夕食に必要なものも買ってきてしまおうと思ってるんですよ。」

「あぁ…そういうことか。少し待ってくれるか?今、セルバと相談してくる。」

「わかりました!十一時には出ますので、それまでに声をかけてください。」

アイラワンのさわやかな笑顔に送り出されて、エデュアルドは席を立った。



「セルバ、少しいいか?」

セルバの席に近づくと、彼女は椅子に深く腰掛けて、俯いていた。横髪が顔を覆っていて表情まで読み取れないが、混乱しているような、戸惑っているような感じを受けた。

「…おい、セルバ。」

声をかけても全く動く気配のないセルバを不審に思い、エデュアルドは床に立て膝をついて下から彼女の顔を覗き込んだ。

彼女の瞳はうつろで、周囲の音もまったく聞こえていないような雰囲気だ。ぼーっと宙を見つめている。

「セルバどうした?具合が悪いのか?」

熱でもあるのかと思い、エデュアルドはセルバの額に手を当ててみた。



と、




「っッッ……!!!???」

ガターン!と派手な音をたてて、セルバが座っていた椅子が倒れた。
驚いた彼女が、いつもの機敏な動きで飛び退ったせいだ。


「なっ…何!?エデュアルドっ…!」

彼女は顔を真っ赤にしながら、無駄に大きな声でそれだけ言った。

瞳孔がキュゥッと、見開かれた瞳の真ん中で小さくなっている。どうやら本当に、心底驚いたらしい。


おかしな話だが、エデュアルドはなぜか「かわいい」と思った。

どこか近寄りがたいイメージのある彼女が、表情を崩して驚く様──そう、まるで尻尾を踏まれて飛び上がったネコ…とでも表現すべきか──を見せたことが、なんだかとても愛おしく感じたのである。

「お前こそどうした、ずいぶんボーッとしていたぞ。」

「え、エデュアルドには関係ない!」

先程まで人に満ちていた大広間は、偶然なのか、それとも気を遣われたのか、いつのまにか無人になっていた。

エデュアルドは目の前で眉根を吊り上げる彼女を見て、自分以外に誰もいなくてよかったと安心している自分に気づいた。

(こんな姿、他の奴に見せたら…)



見せたら…?
なんだというのだろうか。


我ながらおかしなことを考えるものだと自嘲気味に小さく笑うと、エデュアルドは本題に頭を切り替えた。

「セルバ、今日の夕食から俺とお前で支度をすることになるが、なにかメニューで考えているものはあるか?」

「…え?あ、あぁ、その話か。」

セルバは安心したような、少しがっかりしたような、複雑な表情をした。

「さっきね、えーと…名前が出てこない…あの眼帯をした女の人。」

「アデリーナか。」

「そう、アデリーナからディナーのメインは白身魚がいいってリクエストを受けた。だから、メインは白身魚のムニエルにしようと思ってるけど、あとは特に決めてないわ。」

「ふむ…。ならばあとは常備野菜でスープでも作ればよさそうだな。他に女子や子供たちのデザートに、クレープでも焼けば上々だろう。」

「スープはトマトベースにして、ジンジャーとガーリックも入れたいんだけど、ある?」

「ガーリックはあったはずだ。ジンジャーはわからないな…。今見てくる。なければ買出し組に頼むとしよう。あとはいいか?」

「うん、今日はそれでいいと思う。」

「わかった。支度は四時半頃から始める。大所帯だからな、量が半端じゃないんだ。」

「わかったわ。」

じゃあ、またあとでとややぎこちない微笑みを交わし、至って事務的な会話を済ませたエデュアルドは大広間を後にした。

ジンジャーの在庫を確認しようと、厨房に向かう廊下の途中でビキに会った。

「エデュ兄聞いて!これから白虎兄ちゃんとソホ兄ちゃんと一緒に、じいちゃんのところに遊びに行くんだ!」

嬉しそうに報告してくる少年をエデュアルドは目細めて見つめた。

自分には弟がいるということを、いろいろ手を尽くして調べてくれている家門メンバーから聞いている。未だ行方は不明だが、彼もこの新大陸に来ているらしい。

そのせいかはわからないが、エデュアルドは子供が好きだった。

「そうか、よかったな。だが夕飯までにはちゃんと戻って来い。今日の夕飯はすごいぞ?クレープ付きだ。」

ビキの顔がパァッと明るくなった。

「すっげー!ぼく、生クリーム大好き!ぼくのやつにはいっぱい入れてね!」

イチゴも大きいやつが入ってたらいいなぁとはしゃぐビキに、「あぁ」と微笑んで頭を撫でてやると、ビキはくすぐったそうに笑った。

「ねぇエデュ兄。何かいいことあったの?」

そうビキに言われて、驚く。

「……なぜそう思う?」

「だって、いつも優しいけど、今日はもっともーっと優しいよ!」

エデュアルドは、そうか…と小さくつぶやいた。
もしも、何かあったのだとすれば。




─真っ赤になったセルバの顔が、鮮やかに瞼の裏に写った。




「さっき、可愛いネコに会ったからだろう。」




記憶を取り戻すこと。
過去を取り戻すこと。

それだけを求めて生き延びてきた。


でも、もしかしたら…。


エデュアルドの心に、小さな、しかし確かな何かが生まれた。

【エデュアルド&セルバ】Awkward Cooking 1

「みんな揃ったか?じゃあ『会議』を始めるぞー。」


朝のあわただしい時間が過ぎた頃、イリフィカーデ家門では、久々の「家族会議」が開かれようとしていた。

スカウトのフランシスがいつもどおりの朗らかな声で宣言し、家長のジュリアスが一歩前に出ると、少しざわついていた室内が、一瞬にして厳粛な雰囲気につつまれた。

バラックで一番広い大広間に血族、途中加入を問わず、イリフィカーデ家門に所属するすべての者が集まっている。今日の議題の目玉は言うまでもなく、一昨日家門に加わったばかりのセルバの紹介と、彼女の編入に伴うバラック内の家事の分担変更だった。

フランシスから家門の装備品に対する今月の予算の上限だとか、入手した戦利品の売却額の総額だとか、いろいろ数字の報告もされるが、ここら辺の話は意味を理解して聞いている者の方が少ない。
(実家が商人であるリュミエール、カティス・メルの兄妹、それと新大陸で途中編入してきた手に職のある者たちくらいか)

最年少のビキは、最初こそ真剣に話を聞こうとしていたが、やはり難しい話に付いていけなかったようだ。今はペットのタリーとじゃれて遊んでいる。
食べ物以外には興味の薄いソソや、頭で考えるよりも行動派である白虎なども、目を瞑って真剣に話を聞いているように見えるが、恐らくは寝ている。相槌に見えるのは頭が舟を漕いでいるからだろう。

「…以上が先月の決算と、今月の予算の報告だ。次はクラヴィス、頼んだぜ。」

多くのメンバーにとって退屈な類の話が終わり、フランシスと入れ替わりに、マスケッティアのクラヴィスが前に出る。それに続いて、セルバも立ち上がった。

今まで退屈な話に半分目が死にかけていたメンバーたちの顔に、好奇や戸惑いや恥じらいなど、さまざまな表情が一気に戻ってきた。

今日のクラヴィスはいつものパンツスタイルではなく、アンドレブランドのタイトロングスカートワンピースにショートブーツという、少しフェミニンな装いだった。一方セルバは、ずっと放浪の旅をしていて最低限の服しか持ち合わせていなかったこともあり、今日はクラヴィスから春らしい色のパンツとシャツを借りていた。

手足がスラッと長い美女二人が並ぶ様はとても目に麗しく、ここがまるでアンドレブランド新作発表会のコレクション会場でもあるかのような錯覚を見る者に与えた。

「みんなすでに知っていると思うが、一昨日我が家門に加わったセルバだ。」

クラヴィスが簡潔に紹介すると、セルバも軽く会釈して、いたって簡潔に挨拶した。

「よろしく。」

メンバーたちは拍手をして彼女に歓迎の意を表した。
家長のジュリアスが立ち上がって続ける。

「セルバは私たちもたびたび衝突しているモントロ子爵によって、左腕を失ったそうだ。」

その衝撃的な言葉に、広間は一瞬ざわつく。セルバの左腕には、ややくすんだ色の包帯が、指の先から始まって肘よりも上にまで巻かれていた。

「モントロ子爵の動向を探ることは女王陛下の、ひいては新大陸の発展のためになるだろう。そして何よりも、私たちの家族となったセルバのためになる。これからますます激しい戦いが予想されるが、皆、頼りにしているぞ。」

ジュリアスの力強い言葉に、メンバーは再び大きな拍手を送った。

拍手が収まるタイミングを見計らって、フランシスがみんなに何やら紙を配り始めた。
割り当てられた自席に戻ったセルバは、隣に座っていたアデリーナからそれを受け取り、内容を確認する。

そして、思ったままを口にした。

「……何、これ?」

その物言いが思ったより幼く聞こえたせいか、アデリーナは少し笑いの混じった声で答えた。

「家事の分担表だよ。うちの家では身分も男も女も関係なく、バラックでの仕事も全員するのさ。」

「そうなの…。」

セルバは家長のジュリアスが箒を持って玄関先を掃除しているところや、家事などをしたことがなさそうな雰囲気の女性ウィザードのロザリアが料理をしている姿を想像してみたが、なんだかとてもちぐはぐな感じがした。

「表の見方はわかるかい?」

「えっと…教えてもらえれば助かる。」

あぁ、とアデリーナは頷いた。

「ここが仕事の内容で、こっちにはいつ担当するのかが書いてある。もし次に分担が変わるとしても書いてある場所は同じだから覚えときなよ。今回あんたは…第一・第三週の倉庫内の掃除と、第二・第四週の夕飯の準備だね。…あぁ、エデュアルドも一緒にだ。」

「!!!」

セルバの表情が固まった。

エデュアルドとセルバが婚約者であったことは家門のメンバーに知らされていた。そして、エデュアルドの記憶がモントロ子爵の非道な実験により失われていることも、エデュアルド本人が、記憶を取り戻したいと強く願っていることも。

恐らくは、かつて心を交わしていたセルバと接する機会を増やすことで、何がしか彼に良い影響があればと配慮した結果だろう。

そして単純に、ずっと彼に再び会いたいと願っていたセルバが、エデュアルドの近くにいられることを喜ぶだろうとこの組み合わせを考えた者は思ったに違いない。

そう。彼女自身もそう思っていた。違いないはずだった。

もう一度会って、名前を呼んで、彼が振り返れば、全てが元通りだったはずだった。




─── 彼が自分の名前すら覚えていない。



その事実は他人が想像する以上にセルバの胸を抉り、実際、一昨日家門に合流してから、まだ一度もエデュアルドとは話をしていない。

否、正確には、顔を見ることすらできずにいた。

そのように逃げずに、彼に少しでも自分を思い出してもらえるよう積極的に関わるべきだと人は言うだろうし、実際自分の中にもそういう気持ちはあるのだが、怖いのだ。

とにかく怖くてしょうがないのだ。



もし思い出せなかったら?
もし私のことなど好きでなかったら?
もし他の人を好きになってしまったら?



あまりに惨め。あまりに残酷。
いったい何のために、自分は地を這うような思いをして新大陸にまで来たのか。

そして、想像し得る最悪の事態たちが、決して絶対にあり得ない事ではないという冷たい現実が、セルバの足元を凍りつかせていた。


アデリーナはセルバの様子が変わったことに気付いたが、あえて気付かぬ振りでつづけた。

「今日の夕飯からさっそくお前の担当だな。料理はできるのか?」

アデリーナは、最愛の人の命を二つも同時に失い、そして、復讐のために他人の命を奪うという非道を自ら選びとった人間である。

なぜかセルバには、運命に負けてほしくないと思った。

それが自分勝手な押し付けだと分かっているが、それでも彼女はセルバが前に進むべきだと思った。

「…………え、えぇ。野営が多くて、ここしばらく家庭的な料理とは縁遠い生活だったけど。得意な方よ…」

「そうかい、それじゃあ楽しみにしてるからね。あ、できればメインは白身魚にしておくれ。今日はそんな気分なんだ。」

「…わかったわ。」

宙に溶けてしまいそうな声で、セルバは返した。

解散の号令がかかって、メンバーたちがおのおの自由に席を立ち始めてからも、しばらく彼女は椅子に縛りつけられたかのようにその場から動かなかった。

小夜曲「黒猫」 第一楽章「黒い髪の男」1

                    ! WARNING !

この作品は、表現したいテーマの都合上、やや暴力的・性的な表現が含まれております。年齢制限を設けるほどではありませんが、そのような表現が苦手な方は閲覧をお控えください。
また、この作品に登場するウィザード男とカリュケ(この章には出てきません)は義兄妹です。また、オリジナルキャラクターも多数登場します。そういった非公式設定を受け付けられない方も、閲覧をお控えください。


【主要登場人物】

リュミエール:wiz男。21歳。ベスパニョーラの武器商人の三男。イリフィカーデ家のジュリアスたちの従兄弟にあたる。母に辛く当たる父への反抗からか、極度のフェミニストに。(兼、好色家w)母似の美しい容姿も手伝って、大変モテる。戦争や武器は好きでなく、毎日の華やかな生活にも嫌気が差し始めている。

リィナ(オリキャラ):リュミエールの母に従うレディメイド。18歳。仕事もでき、見目も麗しいので夫人のお気に入り。そして当然のようにリュミエールのお気に入りでもある。彼女自身もリュミエールのことは憎からず思っているようだが、努めて主従の関係を崩さないようにしている。





第一楽章「黒い髪の男」 
-Allegretto appassionato-



                    ─ 1 ─



女の家を後にして、リュミエールはまだ夜も明けきらない薄靄の街を歩いていた。

ベスパニョーラ第二の都市ともなれば、女王の御膝元の王都程ではないとはいえ、それなりの技術力を擁する。

瓦斯燈などはその最たるもので、朝日が完全に上るまで、ぼんやりと薄闇に浮かぶその小さき太陽が、彼の足元を助けていた。



女性は美しく尊い、と彼は思う。

それはたとえば、共に語らう時の鈴を転がしたように高く響く笑い声であるとか、自分が気付かないようなところにまで目を配ることができる繊細さであるとか。

女性の笑顔は太陽にとろける蜂蜜のようでさえある。

目の前にあれば、菓子を与えられた子供のように、無条件に頬が緩む。
そしてその笑顔が曇るようなことがあれば、それを取り戻すために自分が道化になることも厭わない。

もちろんリュミエールは若く健全な肉体を備えた青年であるので、先程まで抱いていたその柔肌の感触というのも、大変甘美で捨てがたい要素ではあるのだが。


とにもかくにも、見掛けの美醜や年齢を問わず、リュミエールにとって全ての女性は愛すべき存在であった。


**********************

屋敷に着くと、わざと大回りして裏口に回った。
朝帰りを咎められる年齢でもないが、なんとなく習い性になってしまっているのである。

それに、裏口に回る方が「あの男」の部屋の窓を見ずに済む。


(今日も違う女を連れ込んでいるのだろうな。)


つい先程まで自分も情事に耽っていた分、「あの男」と、例外なく寝室にいるであろう「違う女」が何をしていたか、妙に生々しく想像できてしまい、リュミエールは急に吐き気に襲われた。そのままドンと壁にもたれかかり、なんとか嘔吐感をやり過ごす。誰も来てくれるなと願った矢先に、通路の奥から声が聞こえた。

「……若様…?」

吐き気を堪えるため固く目を瞑っており、呼びかける声の主が誰か、一瞬判断が遅れた。

「若様、大丈夫ですか?どこか痛むのですか?!」

若い女の声。ひんやりとした華奢な手が額に触れる頃、やっと回り始めた思考回路で、リュミエールは声の主に応えた。

「リィナたすけて…吐きそう…気持ち悪い…。」

「あぁ、若様なんてこと!お顔が真っ青ですわ…。まずはこちらへ!」

自分と頭2つ近く背丈が違うリィナに肩を借りて、ずるずると気だるい体で歩を進める。

ワンピースの濃紺のベルベットが、廊下のランプに照らされてゆらゆらと微妙に色を変えるのを何とは無しに眺めながら、リィナの髪から香るシャボンの匂いを嗅いでいた。きっと自分は、いつも着けている白檀ではなく、夜を共にした女のムスクの匂いがするのだろうと、頭の片隅で自分を嗤いながら。

***************************

通されたのはベッドと机一式、小さなクローゼットが一つあるだけの簡素な部屋。
しかし、リュミエールにとっては見慣れた部屋でもあった。

「若様、さぁ、少し良くなるまでここで横になってください。」

リィナはうっすらと汗をかいていた。

無理もない。相手は大の成人男性で、しかも半分以上自力で歩いていなかったのだ。
裏口からリュミエールの自室までよりは随分と近いが、華奢な少女が一人で支えるには、やはり遠い道のりであった。

上気した頬とわずかに香る汗、乱れた呼吸を整えるために少し苦しげに眉を寄せている様子に、リュミエールは何とも言えない愛おしさを感じた。

背に手を添えてもらい、大人しくリィナの部屋のベッドに横になる。

リィナは「失礼いたします。」と小さく断って、リュミエールの靴を脱がせた。それを丁寧にベッドサイドに揃えてから、彼のベストを脱がせ、それからタイをはずして、一瞬ハッとしたように動きを止めた。

「…リィナ?」
怪訝に思い、リュミエールは呼びかけた。

「あ…何でもございません。申し訳ありません。」

その僅かに気まずそうな表情に、リュミエールは「あぁ」と思い当った。おそらく胸元にいくつか、一夜を共にした女からの歓迎の跡が残っていたのだろう。

リィナは、またすぐに何もなかったかのように、繊細な手つきでブラウスのボタンを上から2つ目まではずし、リュミエールが苦しくないようにした。

もう一度だけ「失礼いたします。」と言って、ベルトに手を掛けた。一瞬のためらいの後、それも一気にはずしてしまうと、ウエストを圧迫するスラックスのボタンも手早く外していく。


「若様、苦しくはありませんか?」

「リュミエールと、呼んではくれないのか?」


リィナの問い掛けを無視して、リュミエールは言った。

リィナはリュミエールの母に仕える非常に優秀なレディメイドである。そして同時に、リュミエールが娼館で女を知った後、自ら望んで抱いた最初の女性でもあった。リュミエールとリィナは主従の関係でそれ以上の何物でもないが、二人きりの時は必ず、リュミエールは自分をファーストネームで呼ばせた。


「………リュミエール様。苦しくはありませんか?」
リィナは少し困り顔で、そう言い直した。

「大丈夫だ。ありがとう。」

「では、お水を持って参りますので、そのままお待ちください。」

一礼して去ろうとするリィナの左手首をぐいと掴んで引きとめる。
引きとめるというよりは、引き倒した。

「リュ、リュミエール様!」

リィナは驚いて、掴まれている左手をなんとか振りほどこうとした。しかし、先程まで「吐きそう、たすけて」と泣き言を言っていた人間とは思えないような強い力で掴まれていて、並みの抵抗では外れない。


「だめだ、行くな。」

はっきりとした命令。

でもなぜだか、リィナには、リュミエールの瞳が泣くのを我慢している迷子の子供のように見えた。その瞬間、ふっと抵抗の力が弱まる。その一瞬の隙を逃さず、リュミエールは彼女を難なく引き寄せて抱きしめた。そのまま流されそうになったリィナだが、ハッと我に返ると再び暴れ始めた。

「リュミエール様っ、お戯れはお止めください!」

リュミエールはしばらくリィナからの攻撃を甘受していたが、なおも身を捩って逃れようとするリィナを両手で絡め取り、強引に口づけた。

そのまま、自分でも正体のわからない熱に任せて、リィナの頭を押さえつけて舌で口内を犯す。腰に回した左手は舌の動きに反して優しく撫でさするように動き、彼女の強張った体をゆっくりと開いていく。

やわらかな舌も唇も味わい尽くして、名残惜しげに解放する頃には、リィナはリュミエールの胸の上でくったりと体を投げ出していた。

その勢いのままワンピースのボタンを外そうとしたが、さすがに慌てたリィナがベッドから転がり落ちるようにして逃れ、戯れの過ぎる主人を睨みつけてきた。


「リュミエール様っ!!」

「…………………だめか?」

悲しげに上目づかいで見上げてみても、彼女の眉は釣り上ったまま。どうやら本気で怒らせてしまったらしい。

「だめです!!今日奥様は昼前にオペラ鑑賞に行かれるので、朝は6時きっかりに起こすようにと仰せつかっております!」

時計を見てみれば5時30分で、確かに事に及びでもしたら、彼女は仕事を仕損じるところだった。


「……わかった。すまなかったな。」

下半身に集まりかけていた熱を無かったことにするべく、努めて冷静な声で謝罪した。

母が昼間出かけるということは、「あの男」は今日は一日中屋敷にいるということだ。母が奴の顔見たく無さに、家を空けるようになったのはいつからだったか…。


「しかし、母上がいないということは、君も昼はいないのか。……寂しいな…。」

ぽつりと言うと、リィナは少しうろたえた。

「な、何をおっしゃるんですか。いつものようにご令嬢方とお茶を飲まれたり、お話されたりしていれば、一日なんてすぐですわ。」

それはいつだったかリュミエール自身がリィナに言った言葉だった。まさかこんな風に自分に跳ね返ってくるとは露ほどにも思わなかったが。そしてその言葉が、思いのほか心臓をえぐるような痛みを与えてきたので、そのことにまたリュミエールは驚いた。


「じゃあ、水はいらないから、私が寝付くまでここにいてくれ。寝つきの良さは知っているだろう?」


正直、格好悪いと思う。

巷のご婦人やご令嬢方からは、漆黒の髪にちなんで「新月の君」などと呼ばれ、もてはやされている自分。母譲りの艶のある容姿で、口説けなかった女性はいない。

それがリィナ相手だと、まったくうまくいかないのだ。
甘えたくて甘えたくて甘えたくて、どうしようもない。

本当に……どうしようもない。


しばらく、すがるようなリュミエールの視線をまっすぐ受け止めていたリィナだが、どうやらこの大の成人男子は、どうしても一人にされるのがいやで甘えているらしいと気づいた。ふぅ、と息を一つ吐くと、釣り上げていた眉をいつものなだらかな弧に戻し、「それでしたら。」とやわらかく微笑んだ。

ベッドサイドで立て膝をついて、リュミエールの左手を言われるまでもなく握ってやり、先程の口づけで乱れてしまった前髪を、愛おしげに整えたりしながら。

そのうち自ら宣言したとおり、5分もたたないうちに静かな寝息が聞こえてきて、リィナは小さくクスッと笑った。今日のように自分を振りまわして甘えてくる時は、決まってつらいことがある時だと、2年前の、彼に初めて抱かれた日から、リィナだけが知っていた。

握ってあげていた左手をそっと布団の中に戻し、一度厨房へ行って水差しとコップを持って戻ると、それをサイドボードに置いた。おそらく昼過ぎまで起きないであろう主人が、水を求めてさまよわないように。


「おやすみなさいませ。リュミエール様。」


リィナは姿見で乱れてしまったエプロンやひっつめ髪を整えてから、静かに部屋を出た。


あれ…。なんか当初予定してたのと違う話になってるwwリィナとかプロットの段階ではいなかったぞ!?w
すでに1-1から作者にすら展開がわからなくなってきました;ちなみにカリュケは第二楽章から登場予定です。
全五楽章予定。タイトルはそのままセレナーデ「くろねこ」と読みます。音楽記号に関しては、多少ピアノをかじってた程度の人なので、絶対色々間違ってる(´ω`;)なので、雰囲気作りだと思ってスルーしていただければ幸いです。ご意見・ご感想等いただけましたら大変嬉しく思います。

3/3 加筆修正。深夜テンションで書いてたので、主語や述語が錯綜しすぎてたのを直しました(苦笑)

【エデュ編入記念】常しえの夜の国にて【テラ捏造サーセン;】

91351f34.jpg










永遠に続く静寂の中、夜なのか昼なのかさえ分からない、
むしろそんな区別さえあったことを忘れたかのようなこの場所で、
ひっそりと息をする俺がいる。

死人だけが存在を許されるこの場所に、
どこか場違いかもしれないが、
まともに生きていた頃のことを一切失っている俺には
似合いの場所なのだろう。



しんとした世界で、失くした記憶の断片をたどる作業は俺の日課だ。

なにか一つでも、俺を構成するものをサルベージできないか。

開拓者というよりはトレジャーハンターやスクラップ屋のような
貪欲さで、俺は必死に何かを思う。

結果はいつも同じで、得られるものといえば、
思い出さない方がマシだった地獄の日々の断片なのだが。


それでもそうしなくてはならない。
強迫観念にも似た何かが俺を突き動かすのだ。
思い出せ!と。


頭痛がする。

記憶を掘り起こすという作業は、
自分の意志で脳髄をかき回す行為に等しい。

冷汗が額を滑った。




ふと、   




              ほんの刹那。




女が微笑んだ。




ハッと目を見開く。そこにあるのは見慣れた生ぬるい闇だけで、
辺りを見回してみても、当然のように俺だけが存在していた。

眩しい。…そう、眩しい。

この痛み、この焦燥感は、
太陽を直視した後、眼の中に残った緑色の影のようだ!
目を閉じてもチラチラとそこにあって、でも決して手で触れることができない。
追い払うことも、己のものにすることもできない、
ただの太陽の影。

つかみたくてもつかめないとは!
俺は今、なにかとんでもなく重要な何かを思い出したかもしれないのに…!

情けないことに、息が上がっていた。
顎に伝っていたものは、汗ではなく涙だった。

本当に、情けない…。


「今日は………もう、休むか。」


誰に言うでもなく、俺は宙に向かってつぶやいた。




*********



ひどく美しい女だった。

俺と女は、どこか広い場所─たとえば、コロシアムのようにも見える
広い場所のような、誰もいない野原にも見える場所のような─で
剣を打ち合わせていた。

金属がぶつかり合う固い音がする。
つばぜり合いになったが、意外と女は粘った。

「さぁどうする。お前は俺より強いが、力は俺に劣る。」

そういう俺の眼をまっすぐ見返してきて、ふっと、また笑う。
そのまま思いのほか強い力で押し返してきた。

俺もムキになって、さらに力を込めて剣を押し返す。
自然、二人の顔が近づいた。

女の長い睫毛も、潤った唇も、すぐ目の前にあった。


(触れてしまえそうだ…。)




思った刹那。


「Lo amo,Eduardo.」


ふいに唇をかすめた薔薇の香り。
何が起こったか理解するのと、俺の脛に激痛が走ったのは
ほぼ同時だった。

「ッ……!!!」

バランスを崩して倒れかける俺の剣を払い落し、女は俺の喉元に
切っ先を突きつけた。


「私の勝ち。」

「…っお前…やってくれたな。」

苦々しい思いで女を見上げれば、俺とは真逆の晴れ晴れとした笑顔で
剣を鞘に納めている。

「お前は戦場でつばぜり合いになったら、どの男にも口づけするつもりか!」

半分は本気の叱責、もう半分は本気の嫉妬で
俺は声を荒げた。
女は、声も大に叫んだ俺に最初目を丸くしていたが、
やがて声をたてて笑い始めた。

「バカね、そんなわけないでしょ!…あ、もしかして妬いてくれたの?」

お約束の台詞を吐かれたが、残念なことに半分は真実で、
俺は返す言葉に詰まった。気まずさで思わず視線を逸らす。


「……ねぇ、エデュアルド。」


どうにも悔しくて、女の呼びかけを無視する。

…我ながら本当に情けない。
まるでゲームに負けた子供ではないか。

「エデュアルド・ヒンギス?」

女が子供をあやすような、慈しみの表情で俺の顔を覗き込んだ。
本当に、美しい女だと、思う。

「私の愛しいエディ、キスしてちょうだい。」

首に回された細い腕を、振り払う理由など無く。

「キスだけじゃいやなの。抱きしめながら名前を呼んで?」

俺のくせ毛にいとおしげに絡まってくる指は、
甘やかなやわらかい針のようだ。
愛おしい気持ちをあふれさせる優しい毒を注ぎ込む、
天使の指だ。

俺は呼んだ。女の名を ─────








名を……?








この女は









誰だろう………





******************


とたん、崩れゆく景色。
溶けていく背景。消え行く腕の中の柔らかい体。



あぁ、消えてしまう!行ってしまう!
行かないでくれ!お願い、行かないで!


「………ッ!!!!!!」





ガバリと上体を起こして、俺は荒い息をついた。
寝ていた、らしい。


夢の中で、まるで恋人か、それ以上のように寄り添った女。
引きとめることは、できなかった。

叫ぶことも、できないのだ。






「お前は、誰だ…?お前の名前が、知りたい……」





常しえの夜の国に、朝日はまだ昇らない。
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