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箱庭の星

オンラインゲーム「Granado Espada」のラピス鯖にてもっそり開拓中のイリフィカーデ家門が織りなす、新大陸一大スペクタクル(という名の妄想。)
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小夜曲「黒猫」 第一楽章「黒い髪の男」1

                    ! WARNING !

この作品は、表現したいテーマの都合上、やや暴力的・性的な表現が含まれております。年齢制限を設けるほどではありませんが、そのような表現が苦手な方は閲覧をお控えください。
また、この作品に登場するウィザード男とカリュケ(この章には出てきません)は義兄妹です。また、オリジナルキャラクターも多数登場します。そういった非公式設定を受け付けられない方も、閲覧をお控えください。


【主要登場人物】

リュミエール:wiz男。21歳。ベスパニョーラの武器商人の三男。イリフィカーデ家のジュリアスたちの従兄弟にあたる。母に辛く当たる父への反抗からか、極度のフェミニストに。(兼、好色家w)母似の美しい容姿も手伝って、大変モテる。戦争や武器は好きでなく、毎日の華やかな生活にも嫌気が差し始めている。

リィナ(オリキャラ):リュミエールの母に従うレディメイド。18歳。仕事もでき、見目も麗しいので夫人のお気に入り。そして当然のようにリュミエールのお気に入りでもある。彼女自身もリュミエールのことは憎からず思っているようだが、努めて主従の関係を崩さないようにしている。





第一楽章「黒い髪の男」 
-Allegretto appassionato-



                    ─ 1 ─



女の家を後にして、リュミエールはまだ夜も明けきらない薄靄の街を歩いていた。

ベスパニョーラ第二の都市ともなれば、女王の御膝元の王都程ではないとはいえ、それなりの技術力を擁する。

瓦斯燈などはその最たるもので、朝日が完全に上るまで、ぼんやりと薄闇に浮かぶその小さき太陽が、彼の足元を助けていた。



女性は美しく尊い、と彼は思う。

それはたとえば、共に語らう時の鈴を転がしたように高く響く笑い声であるとか、自分が気付かないようなところにまで目を配ることができる繊細さであるとか。

女性の笑顔は太陽にとろける蜂蜜のようでさえある。

目の前にあれば、菓子を与えられた子供のように、無条件に頬が緩む。
そしてその笑顔が曇るようなことがあれば、それを取り戻すために自分が道化になることも厭わない。

もちろんリュミエールは若く健全な肉体を備えた青年であるので、先程まで抱いていたその柔肌の感触というのも、大変甘美で捨てがたい要素ではあるのだが。


とにもかくにも、見掛けの美醜や年齢を問わず、リュミエールにとって全ての女性は愛すべき存在であった。


**********************

屋敷に着くと、わざと大回りして裏口に回った。
朝帰りを咎められる年齢でもないが、なんとなく習い性になってしまっているのである。

それに、裏口に回る方が「あの男」の部屋の窓を見ずに済む。


(今日も違う女を連れ込んでいるのだろうな。)


つい先程まで自分も情事に耽っていた分、「あの男」と、例外なく寝室にいるであろう「違う女」が何をしていたか、妙に生々しく想像できてしまい、リュミエールは急に吐き気に襲われた。そのままドンと壁にもたれかかり、なんとか嘔吐感をやり過ごす。誰も来てくれるなと願った矢先に、通路の奥から声が聞こえた。

「……若様…?」

吐き気を堪えるため固く目を瞑っており、呼びかける声の主が誰か、一瞬判断が遅れた。

「若様、大丈夫ですか?どこか痛むのですか?!」

若い女の声。ひんやりとした華奢な手が額に触れる頃、やっと回り始めた思考回路で、リュミエールは声の主に応えた。

「リィナたすけて…吐きそう…気持ち悪い…。」

「あぁ、若様なんてこと!お顔が真っ青ですわ…。まずはこちらへ!」

自分と頭2つ近く背丈が違うリィナに肩を借りて、ずるずると気だるい体で歩を進める。

ワンピースの濃紺のベルベットが、廊下のランプに照らされてゆらゆらと微妙に色を変えるのを何とは無しに眺めながら、リィナの髪から香るシャボンの匂いを嗅いでいた。きっと自分は、いつも着けている白檀ではなく、夜を共にした女のムスクの匂いがするのだろうと、頭の片隅で自分を嗤いながら。

***************************

通されたのはベッドと机一式、小さなクローゼットが一つあるだけの簡素な部屋。
しかし、リュミエールにとっては見慣れた部屋でもあった。

「若様、さぁ、少し良くなるまでここで横になってください。」

リィナはうっすらと汗をかいていた。

無理もない。相手は大の成人男性で、しかも半分以上自力で歩いていなかったのだ。
裏口からリュミエールの自室までよりは随分と近いが、華奢な少女が一人で支えるには、やはり遠い道のりであった。

上気した頬とわずかに香る汗、乱れた呼吸を整えるために少し苦しげに眉を寄せている様子に、リュミエールは何とも言えない愛おしさを感じた。

背に手を添えてもらい、大人しくリィナの部屋のベッドに横になる。

リィナは「失礼いたします。」と小さく断って、リュミエールの靴を脱がせた。それを丁寧にベッドサイドに揃えてから、彼のベストを脱がせ、それからタイをはずして、一瞬ハッとしたように動きを止めた。

「…リィナ?」
怪訝に思い、リュミエールは呼びかけた。

「あ…何でもございません。申し訳ありません。」

その僅かに気まずそうな表情に、リュミエールは「あぁ」と思い当った。おそらく胸元にいくつか、一夜を共にした女からの歓迎の跡が残っていたのだろう。

リィナは、またすぐに何もなかったかのように、繊細な手つきでブラウスのボタンを上から2つ目まではずし、リュミエールが苦しくないようにした。

もう一度だけ「失礼いたします。」と言って、ベルトに手を掛けた。一瞬のためらいの後、それも一気にはずしてしまうと、ウエストを圧迫するスラックスのボタンも手早く外していく。


「若様、苦しくはありませんか?」

「リュミエールと、呼んではくれないのか?」


リィナの問い掛けを無視して、リュミエールは言った。

リィナはリュミエールの母に仕える非常に優秀なレディメイドである。そして同時に、リュミエールが娼館で女を知った後、自ら望んで抱いた最初の女性でもあった。リュミエールとリィナは主従の関係でそれ以上の何物でもないが、二人きりの時は必ず、リュミエールは自分をファーストネームで呼ばせた。


「………リュミエール様。苦しくはありませんか?」
リィナは少し困り顔で、そう言い直した。

「大丈夫だ。ありがとう。」

「では、お水を持って参りますので、そのままお待ちください。」

一礼して去ろうとするリィナの左手首をぐいと掴んで引きとめる。
引きとめるというよりは、引き倒した。

「リュ、リュミエール様!」

リィナは驚いて、掴まれている左手をなんとか振りほどこうとした。しかし、先程まで「吐きそう、たすけて」と泣き言を言っていた人間とは思えないような強い力で掴まれていて、並みの抵抗では外れない。


「だめだ、行くな。」

はっきりとした命令。

でもなぜだか、リィナには、リュミエールの瞳が泣くのを我慢している迷子の子供のように見えた。その瞬間、ふっと抵抗の力が弱まる。その一瞬の隙を逃さず、リュミエールは彼女を難なく引き寄せて抱きしめた。そのまま流されそうになったリィナだが、ハッと我に返ると再び暴れ始めた。

「リュミエール様っ、お戯れはお止めください!」

リュミエールはしばらくリィナからの攻撃を甘受していたが、なおも身を捩って逃れようとするリィナを両手で絡め取り、強引に口づけた。

そのまま、自分でも正体のわからない熱に任せて、リィナの頭を押さえつけて舌で口内を犯す。腰に回した左手は舌の動きに反して優しく撫でさするように動き、彼女の強張った体をゆっくりと開いていく。

やわらかな舌も唇も味わい尽くして、名残惜しげに解放する頃には、リィナはリュミエールの胸の上でくったりと体を投げ出していた。

その勢いのままワンピースのボタンを外そうとしたが、さすがに慌てたリィナがベッドから転がり落ちるようにして逃れ、戯れの過ぎる主人を睨みつけてきた。


「リュミエール様っ!!」

「…………………だめか?」

悲しげに上目づかいで見上げてみても、彼女の眉は釣り上ったまま。どうやら本気で怒らせてしまったらしい。

「だめです!!今日奥様は昼前にオペラ鑑賞に行かれるので、朝は6時きっかりに起こすようにと仰せつかっております!」

時計を見てみれば5時30分で、確かに事に及びでもしたら、彼女は仕事を仕損じるところだった。


「……わかった。すまなかったな。」

下半身に集まりかけていた熱を無かったことにするべく、努めて冷静な声で謝罪した。

母が昼間出かけるということは、「あの男」は今日は一日中屋敷にいるということだ。母が奴の顔見たく無さに、家を空けるようになったのはいつからだったか…。


「しかし、母上がいないということは、君も昼はいないのか。……寂しいな…。」

ぽつりと言うと、リィナは少しうろたえた。

「な、何をおっしゃるんですか。いつものようにご令嬢方とお茶を飲まれたり、お話されたりしていれば、一日なんてすぐですわ。」

それはいつだったかリュミエール自身がリィナに言った言葉だった。まさかこんな風に自分に跳ね返ってくるとは露ほどにも思わなかったが。そしてその言葉が、思いのほか心臓をえぐるような痛みを与えてきたので、そのことにまたリュミエールは驚いた。


「じゃあ、水はいらないから、私が寝付くまでここにいてくれ。寝つきの良さは知っているだろう?」


正直、格好悪いと思う。

巷のご婦人やご令嬢方からは、漆黒の髪にちなんで「新月の君」などと呼ばれ、もてはやされている自分。母譲りの艶のある容姿で、口説けなかった女性はいない。

それがリィナ相手だと、まったくうまくいかないのだ。
甘えたくて甘えたくて甘えたくて、どうしようもない。

本当に……どうしようもない。


しばらく、すがるようなリュミエールの視線をまっすぐ受け止めていたリィナだが、どうやらこの大の成人男子は、どうしても一人にされるのがいやで甘えているらしいと気づいた。ふぅ、と息を一つ吐くと、釣り上げていた眉をいつものなだらかな弧に戻し、「それでしたら。」とやわらかく微笑んだ。

ベッドサイドで立て膝をついて、リュミエールの左手を言われるまでもなく握ってやり、先程の口づけで乱れてしまった前髪を、愛おしげに整えたりしながら。

そのうち自ら宣言したとおり、5分もたたないうちに静かな寝息が聞こえてきて、リィナは小さくクスッと笑った。今日のように自分を振りまわして甘えてくる時は、決まってつらいことがある時だと、2年前の、彼に初めて抱かれた日から、リィナだけが知っていた。

握ってあげていた左手をそっと布団の中に戻し、一度厨房へ行って水差しとコップを持って戻ると、それをサイドボードに置いた。おそらく昼過ぎまで起きないであろう主人が、水を求めてさまよわないように。


「おやすみなさいませ。リュミエール様。」


リィナは姿見で乱れてしまったエプロンやひっつめ髪を整えてから、静かに部屋を出た。


あれ…。なんか当初予定してたのと違う話になってるwwリィナとかプロットの段階ではいなかったぞ!?w
すでに1-1から作者にすら展開がわからなくなってきました;ちなみにカリュケは第二楽章から登場予定です。
全五楽章予定。タイトルはそのままセレナーデ「くろねこ」と読みます。音楽記号に関しては、多少ピアノをかじってた程度の人なので、絶対色々間違ってる(´ω`;)なので、雰囲気作りだと思ってスルーしていただければ幸いです。ご意見・ご感想等いただけましたら大変嬉しく思います。

3/3 加筆修正。深夜テンションで書いてたので、主語や述語が錯綜しすぎてたのを直しました(苦笑)
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バラックメンバーの名前が、全部某元祖ネオロマのキャラ名だったりするのは中の人の趣味です。万年まったり開拓中につき、まったりなお友達募集中。中の人は社会人→学生なので、暇そうに見えるけどちょっと忙しいですwあまり細かいことは気にしませんが、最低限のマナーは大事よねと思っている今日この頃。
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